ある老師との出会い2

老師は自身が経営する会社をたたんで教室を開くまで気功による肩こりや腰痛の治療をボランティアでおこなってきたそうだ。現在も、子供達に教える合気道や空手の教室、大人に教える気功教室の合間をぬって、気功ヒーリングをほぼボランティアに近い価格帯で行なっている。わたしは、老師から教えていただく気を使った合気道のワザの講義よりも、気功ヒーリングに興味をもっていた。

そもそも気功ヒーリングってなんなんだろう?これまためちゃくちゃ胡散臭いな?そんな状態で教室に参加していた。その日は気功ヒーリングの授業の日だった。今までも何回かこの授業を受けたことはあった。老師が、「腰痛の相手には立ってもらって、肩に自分の手を置いてあげましょう。そして気を流してみてください。すると、腰にきくんですよ。はい、みんなで実践してください!」と説明し、生徒同士であーでもないこーでもないといいつつ実践する。老師曰くあなたはすでに気が使えていますという言葉があったけれど、わたしが、他の人の肩に手を置いてみると、しばらくすると、ゆらゆらと相手の腰のあたりの回転が自動的に生成してきた経験がすでになあった。今回は、趣向がちょっとかわっていた。老師の放置大作戦か?「はい、MGさんの好きなようにヒーリングしたらいいから!はいやってやって。」うそやろ。どういうこと?好きにやってって?すでに教室に参加しているメンバーが横になっており、その人相手に私がヒーリングをするらしい。どこが悪いとかそういうことも事前にまったくきいていない。とにかく好きにやればいいと。もはや、やけくそぎみなわたくしは、とにかく自分で自動運動を行うときのモードで相手の肩あたりに手を置くことからはじめた。そしてそのまましばらくじっとしていていると、自動的に手が動き始めたのだ。自分の身体に対し自分の手が自動的に動いていってなにか治療??と思わしき行為に出ているのはすでに経験していたので驚くこともなくなっていたが、他人に対してもそういう動きが身体から生成することには驚いた。老師曰く、「あなたは、ワシがもってない能力をもってますよ。ワシは、気を使うことができますがあなたのように相手に対して手や身体が勝手に動くことはありません。」えっ?わたしは、なにも意図的にやろうとしていないのに。どうして、身体(主に手)が勝手に人の身体の上を動き回るのか?

しばらくすると、さらに驚くべきことがおきた。なにやら、念仏のようなものを勝手に口が唱え出し、お祓いのような手の動きを行なったり、祈りを始めたりしたのだ。この私が、そうこの私が!でも、このときの私は、別人が私の身体をかりて何かを行なっているのを静観しているような感覚であった。決して私が意図的にそういうことをやっているわけではなく、それをみている私という意識がいるのである。この行為が終わると、相手の方が「めちゃくちゃ体が軽くなりました。ここにくるまで、なんかすごく体がずっと重くて。。。。本当にありがとうございます。あなたもヒーリングをされている方なんですか?」この日始めてお会いした男性で、老師から気功ヒーリングをここのところずっと受けていて教室にも参加するように言われて参加したそうだ。鬱状態が続き会社も休職していたという。わたしは、あまりにも自分の身体の動きに意味がわからない状態で、「いやいや、わたしじゃないんで。わたしじゃなくて、いやなんか。。。。うーん、なんかうまく説明できないけど勝手にできてしまってwうーん。」

しどろもどろになっているところに。老師曰く、「あなたにはワシにはない、除霊の能力がある。」除霊????今までのわたくしの生きていた世界から最も遠い響きである、霊という言葉をきいて。科学的教育をほどこされてきた私は、霊などという存在とは無縁であり、身体を物質的に理解してきた人間であって、霊なんて言われてしまったら、それをどう考えていったらいいのか、今でもはっきりいってわからない。

とにかく、この経験を掘り下げたくないという思いで、わたしはこの教室に通うことはなくなったが、今でもこの体験は不思議体験としてありのままに持っておいていつかなんらかの解釈ができる日が来たらいいなとは思う。その後調べてみると、霊障というのがある界隈では語られており、もしかしたら、わたしのまだまだ知らない世界があるのかもしれない。でもあくまでもわたしは近代科学に関わる人間であるし、今後もそうでありたいと思っているし、科学的な側面から、気といったものや、古代から霊と言われているものを考えていきたいとは思っている。